From..
ここはどこだ?

俺は目を懲らし周りを観察する。

コンサート会場?

沸き上がる人並み。まばゆいくらいのスポットライトで照らされるアーティスト。

そうだ思い出した。今日は付き合って一ヶ月の百合菜とライヴを見に来たんだ。

「楽しみだね!」

そう言って満面の笑みを浮かべる百合菜。

あぁ…連れて来て良かったな。俺は心から思った。

「何これ……?」

百合菜は素早く俺の上着のポケットに入っていたラブレターを奪った。

「ちょっ……」

それを読み出した百合菜は一言つぶやいた。

「届けたくないのに届いちゃったんだね」

「え……。それどういう意味!?」

「だって……」

ガバッ!

そこで俺は目が覚めた。
夢か。それにしても変な夢だったな……。

俺は壁掛けの時計で時間を確認する。

5時……。
…………朝の5時?

俺は慌ててカーテンを開けて外の様子を確認する。朝日が昇る前……。町はまだ眠っている。

俺は半日以上眠ってたのかよ…。

しかしそのせいもあってか、身体のだるさも取れ、熱もないようだ。

これなら今日は学校に行けるな。

明日は文化祭、今日が一番準備が忙しい日だ。

俺は来たるべき“戦い”に備えてもう一眠りすることにした。

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