From..
ガラガラ!俺は勢いよく保健室の扉を開ける。
急いで来た為に、息はかなり上がっていた。

辺りを見回す。先生の姿は見当たらなかった。

俺はベッドの上に座っている百合菜を見つけた。

「如月君……。わざわざごめんね」

まるでこのまま消えてしまいそうな程、百合菜は儚かった。

そう、包んだら壊れてしまいそうだった。

「……何があった?」

俺がそう聞くと百合菜はこれまでの経緯を話してくれたのだった。

初めは些細な嫉妬。それから若葉に冷たく当たってしまった。

家に帰って冷静に考えたら百合菜は罪悪感でいっぱいになったそうだ。

それで今日、早く学校に来て謝ろうと思ったものの若葉の姿はなかった。

それどころか、友達から『若葉が一年のアイドルに告白された』と耳にする。

しばらくして若葉が帰ってくると百合菜を冷たい目で見ていたという。

それでいてもたってもいられず、保健室に駆け込んだとのことだった。
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