告白よりも、ときめきを

……あ、そうだ。

「はい、はい。ちょっと質問」

発言権を得ようと、軽く手をあげた。

「何だよ、急に」

「ん、あのね、性別を意識せず、気が合って楽しいっていうのは駄目な事なの?」

「駄目な事って、どういう事だよ。何かあったのか?」

「後輩が、そんなの有り得ないって。好きだから楽しいんです、って言うのよ。
私はね、その好きって部分は解るの。人として、その人物が好きだから。
だけどその後輩は、楽しいのは異性として、ドキドキがある好きだからに決まってるって。
…何か言ってて、解んなくなってくるけど、解る?私の言いたい事?」

「…正解は無いだろう?、な、竹内」

「ああ、個人の内面の問題だからな。
何気なく意識せず楽しい、を突き詰めて考え始めると、それがもう“意識"するって事になってしまうだろ?
何も考えなくて無意識に楽しい内は良くて、意識したら居られなくなる事もある。
最初の入口が違うと、関係性も違うんじゃないか?男だとか女だとか思いもせずと、異性を意識してとは」

「そう。そうだ、そういう事だよ。…ややこしいな~、理屈にすると。
でも、そういう事だろ?
その、宇佐美の後輩は、男は男としてしか見ない、って事だろ?
考え方だって性格だって、個人で脳が違うんだから、はい、これです、は、無いだろ」

「ふむ、ふむ」

じゃあ、私はこのままで良しとしよう。
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