告白よりも、ときめきを

ちらほら見える“本当"のカップルは、余裕のあるソファーであっても、これ以上くっつけませんてくらいセンターで肩を寄せ合っていた。

薄暗いって凄い力…。この人達にはどんな映画観ても、関係なさそうな気がした。

予想通りの映画だった為、引き込まれるように観た。
途中、大きな音に驚いた片桐君は、無意識になのだろう、繋いだ手に力が入り、強く握ったりした。
握るという行為もだか、暗いから余計色んなモノにドキドキさせられた。
……時々、どうしてもあるラブシーン。
こういうのは、一体どんな顔して観たらいいものやら…。一人なら何も気にしなくていいのだけれど。流石に表情までは解らないだろうが、恥ずかしくて…そのシーンのアップに戸惑ってしまった。

そもそも何故?
今更だけど、何故片桐君と映画?私は…正直、単純に観たかったというのもあったけど。引っ張られるようにしてやって来たけど。

それにこの手。
このずっと繋いだ手はどうなんだ?離すタイミング…失った…。特に強く拒否しないままの私も悪いのだが…。

……ずっと好きでした、なんて、一体…。
子供扱いしてる訳でも無いが、私のした事に仕返しでもするかのようなあの強引なキスも…。……。

「明璃、さ、ん…」

え。

自分の驚きの声は発せられ無かった。片手を添えて顔を軽く捻られ唇を塞がれていたからだ。

「…映画観てるからか、何を考えているのか、…隙あり過ぎですよ?好きだと言った人間に、隙を見せては駄目ですよ?俺には好都合ですけど」

…何…今の、映画に感化されたの?
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