告白よりも、ときめきを

「観てる時、飲食しますか?」

「…え?私は集中したいから何も飲まないし、食べない方なの。片桐君は気にせず好きに…」

「俺もです。観てる時は観るだけです。少し遅くなりますけど、終わってからお茶というか、軽く御飯しましょう」

「それはいいけど。今日、彼女は?いいの?」

「…論外です」

まただ…論外ってどういう事?おまけに人の事、好きだとか言うし。


雑談しながら歩いてたらもう着いていた。

「さあ、入りましょう」

「あ、は、はい」

ちょっと、これ、ここに座るの?カップルシートじゃないの…。
初めて…勿論だけど。

「座りましょう」

「あ、うん。ごめん、何だかボーッとしちゃって」

……座り心地よさそうな感じ。クッションあるし、家で寛いでる感じで観られそう。
手掛けが無いから普通に並んでソファーに腰掛ける事にはなるんだけど…。

片桐君は上着を脱いでいた。

「すいません。つい、リラックスしたくなって」

「大丈夫。寛ぎたくなる気持ち解る」

「解ってもらえます?」

「解る解る、大丈夫だから。好きなようにして?」

「さあ、座りましょう。今日は平日で程よく空いてますから、余計楽ですね」

突っ立ったままだった私は、先に座った片桐君に手を引かれた。
ドキッ。

「あ、ごめん…有り難う」

有り難うって…咄嗟に有り難うて言ったけど、合ってる?変よね…まあエスコートのお礼みたいなモノよね。別にいいよね。

「暗くなります。始まりますね」

何だか…手はそのまま繋がれてるんだけど…。
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