HE IS A PET.


 言葉を補足しようと顔を上げれば、シュウの手のひらに捕まった。
 私の顔を固定させた角度に合わせ、シュウも首を傾げる。

 綺麗な顔に怯んだ瞬間、なだれ込んでくる情熱と色香は怒涛のようで。
 シュウを見失う。こんなシュウは知らない。


「サキちゃん、可愛い。サキちゃん、大好き。サキちゃん、俺と結婚して」

 嵐のようなキスが止まると、いつものシュウだった。軽々しく言って、へらりと笑う。


「シュウ……私、」

 このタイミングで困るなんて馬鹿だ。

「シュウのこと……」

 嫌いじゃない。好きかもしれない。友達以上に。でも……

「脩吾って呼んで」

「え?」

「俺のこと、脩吾って呼んでよ。昔みたいに」

 ね?サキちゃん、と言ってへらりと笑う。

「うん、いいけど。何で突然」

「突然っていうか。前から脩吾だったし、俺」

 それはそうだ。脩吾は脩吾だ。

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