HE IS A PET.

「やっぱり、許せない……よね?」

「え、誰を?」

「元奥さん……浮気したんだもんね」

「ん、でもそれは俺のせい。他の男に行きたくなるくらい、不安にさせたんだもんね」

 ああ、そのパターンは知っている。
 脩吾にベタ惚れして付き合ったものの、自分の存在の軽さに耐えられなくなったカノジョたちが、別の男を作って、脩吾の元を去るというパターン。

「だから、別に元奥さんのこと恨んでないし。偽パパと上手くやってけるんなら、やってってほしいって思ってる。サキちゃんは? 俺が元奥さんとヨリを戻したりしたら、嫌じゃない?」

 飄々と喋っていた脩吾の口調が変わった。

「俺は、サキちゃんが好き」

 何度も言われた「好き」の中で一番、重い。


「私は……、脩吾のこと好きだけど、やっぱり友達以外には思えない。今の話聞いててムカついたけど、嫌だって思わなかった。脩吾が、ルフィのパパに戻るの。逆に、応援したいって思ったし」

 どうするのが父と子にとって一番いいのか、そう考える中に私はいなかった。

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