HE IS A PET.
「熱以外に症状は? 病院行く?」
怜の保険証は確かリュックの中だ。持って来て良かった。
「大丈夫、ただの風邪だから。寝たら治ると思う」
怜は涙を拭って微笑みを作り、珍しくはっきりと言った。
「だから、咲希さんは仕事行って」
判断に迷っているのは、珍しく私の方だ。
「でも……すごく高いよね、熱」
計っていないからはっきりしないけれど、微熱というレベルじゃないことは確かだ。
「体温計、どっかにある? 勝手に探していいなら、取って来るけど」
アズミンの、事務所にしている方のマンションなら、どこに何があるのか熟知しているけれど、このプライベートマンションのことは全然分からない。
ここで怜がいつから飼われていたのかも、知らなかったくらいだ。
「大丈夫。体温計も薬もあるし、自分で取って来れるから。薬飲んで、寝る」
「着替えは?」
怜の服はうちに大量にある。
「うちに戻る?」
怜は首を横に振った。
「ここにもあるから、大丈夫」
「他にいるものは? 何か食べるもの買って来ようか。てか、本当に病院行かなくて大丈夫?」
「大丈夫。行く時は、真崎さんに電話する」
頑として大丈夫と言い張る怜に、私は諦めた。
「分かった、じゃあ安静にね。真崎さんには私から連絡しとく。仕事が終わったら、様子見に来るね」