あなたの大切なひと
どんどん
年度末が来て、あと2ヶ月と迫った大きな大会。
竹本と私は準備に余念がない。

殺伐とした作業の中、ついに会わなくても平気な彼、佐藤要から、連絡があった。

「久しぶり…」

「ああ。そうだな。」


なんだか要が言いにくそうにしている。

「俺、大阪に転勤になった。予定では3年。引き受けた」

「ふうん」

「で、なんだけど、一緒に来るか?」
私は、沈黙した。

「行けない…」

「だよな。美海はいつもそうだった。
俺は好きだったけど、美海はいつも違うとこを見てた。
そんな美海が好きだったけど。
でも、もう無理だな。俺たち。もう、美海は、俺じゃないものを見てる。だから、もう、終わりにしよう。今までしばってごめん」

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