あなたの大切なひと

突然の

年度が新しく切り替わる、３月２５日には、内示が発表される。
それは、私のもといた会社でも同様であった。

今回は、吸収合併して半年間の中途半端な配属を正式に調整するため大規模な異動となることは、予想されていた。

一人一人、異動対象者が課長に名前を呼ばれ、新しい所属と役職名を告げられていた。

私は、大きな会議の開催担当だし、なんとなく今年はないな、と思ってその光景を眺めていた。

「仙崎さん」
なぜか、課長が私の名を呼ぶ。
「俺たちの新しい係長じゃねぇ？」
竹本が笑いながら後ろで言った。

でも、課長から告げられたのは、全く違う部門の庶務課であった。

「ええっ？」
竹本が驚いた声をあげた。
課長も困惑顔で
「まいったな。仙崎さんに任せてた会議、竹本だけになっちゃうよな。慌てて人事にかけあったんだけど、庶務課は、もう決定事項らしくて、」
そう言った。
私は、そっと竹本の顔を見た。