プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「これ、甲子園の土。あげるよ」


不審に思っていると、エナメルバッグから取り出したビニール袋に入った土を渡された。


「土?ありがとう」


甲子園球児定番の、アレね。
たぶん裕貴も持って帰ってくると思うけど、一応素直に受け取っておく。


「一輝くんとはどう?」

「順調だけど?」

「そう、良かったね」


やっぱこいつ、何考えてるのか全然分かんない。

すぐ終わるっていったくせに、いきなり世間話みたいにそう切り出してきて、いつものようにつかめない笑顔。

結局一輝くんとの仲を邪魔したいのか、そうでもないのかどっちよ。


「あ、そうだ!秀に会ったら言いたいことがあったんだ。
どういうつもりか知らないけど、昔のどうでもいいこととか持ち出したり、一輝くんに変なこと言うのやめてよ」

「どうして?」

「どうして、って一輝くんとの仲を壊したくないから。
秀はからかってるだけなのかもしれないけど、本当にやめて。今度という今度は、あたしはマジなの。
真剣なの。壊したくないの。

幼なじみなら、あたしの親友なら、分かってよ」


相変わらず飄々としてつかみどこのないこいつに通じてるのか不安だけど、それでも玄関前で必死に訴えるあたし。



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