プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「野球部のマネージャーさんですよね?
私、小野くんと同じクラスなんです。
それで応援にきました」


やっぱこの子、この前の一輝くん狙いの、あたしがエンコーしたとかどうのこうの言ってた子だ。


「......そうなんだ。どうも」


せいぜい陰で悪口を言うくらいのどこにでもいる一般女子かと思えば、彼女のあたしに直接接触してくるなんて、意外と度胸あんじゃん。

しかも、あたしが彼女って絶対知ってるくせに、一輝くんの彼女ですよね?とは言わずに、マネージャーですよね?って言ってくるあたりが、いやらしい。


「昨日小野くんとLINEしてたら、予定ないなら試合みにきてって誘ってくれたから、きちゃいました」

「へー.....」


一輝くん、この女の連絡先知ってんの?
しかも......、いやいや抑えろあたし。

クラスメイトならアドレス交換しててもフツーだし、一輝くんのことだから、みんなに試合見にきてって言ってるんだよきっと。

それをこの女があたしにプレッシャーかけるために、いかにも自分だけ誘ってくれたみたいな感じで言ってるだけ。


「うちのクラスみんな仲良くってー。
野球部が地方大会行けたら、みんなでお祝いしようってクラス会しようって言ってるんですよー。

今度の修学旅行もー」


ムカムカしながら聞いていると、同じクラスでもなければタメでもない、初対面のあたしにいきなりクラスの話題をふってきたかと思えば。


「あ、すみません。先輩、二年生だから修学旅行の話なんてしても分かりませんよね」


綿密に計算されたナチュラルメイク、薄いピンクのグロスが塗られた唇を上げて、こうきたもんだから、もう腹が立つなんてもんじゃない。

こいつ、ナチュラルに性格悪いやつだ。
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