プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
無表情であたしにバットを渡したリョーコに、ありがとうと笑顔で応える。


「アンタ何考えてんの?
当たってたら死んでたかもしれないんだよ。
フツー、バット投げる?」

「リョーコから先にやりだしたんでしょ。
そっちこそ、あたしにぶつける気だったでしょ?」


周りには聞こえないように小声でコソコソとやり取りしてから、さらに一歩リョーコに近づく。


「あたしに嫌がらせしたいならしてもいいけど、他の方法でして。嫌がらせの道具にソフトを使わないで。すっごく、不愉快」

「にっしーだって、同じことしてんじゃん」

「えー?あたしは、汗ばんでバットがすっぽ抜けただけだよ?わざとじゃないもん。
リョーコもでしょ?ただコントロールが超絶悪いだけだよね?まさか、わざとあたしに当てようとするわけないもんねー?」


コントロールが悪いと言われるのも屈辱、だからと言ってあたしにわざとぶつけようとしてたとは言えない。

これにはリョーコも悔しそうな顔で、あたしにイカれ女と罵る以外に反論ができなかったみたい。

イカれてんのはどっちよ。


さっさとバットを持って、打席に戻る。

さて、こんだけたっぷり挑発しとけば、次は......。

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