プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
四球目、リョーコが投げた球があたしの手元にきたと同時に、あたしは思いっきりバットを放り投げた。

スポーンとあたしの手から抜けたバットは、マウンドにいるリョーコの右横スレスレを通過していく。


さすがにこれには、バットが当たりそうになったリョーコだけでなく、敵味方関係なしにみんなあっけにとられている。


ま、だよね。
嫌がらせでボールをぶつけるやつはいても、仕返しにバット投げるやつはあたしぐらいしかいないでしょ。


「な、なにやってんだ西川!危ないだろ!」

「あ、すみませーん。気合い入れてバットふったら、うっかり手からすっぽ抜けちゃいました。
わざとじゃありませーん」

「......次やったらお前は退場だぞ。いいな?」

「はーい」


怒っているというよりも驚いている先生から注意を受け、テヘと舌を出してから、自分の飛ばしたバットを自ら取りにいく。


「リョーコごめんねー?大丈夫だったー?」


マウンドにいるリョーコのもとへと。

< 307 / 623 >

この作品をシェア

pagetop