プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「にっしー!ほんとに帰るの?」


カラオケから出ようとすると、出口のところで友達に呼び止められたので振り向く。


「あ、うん。なんか、変なのに目つけられたみたいで。
今日は帰るわ、せっかく誘ってくれたのにごめん」

「それはいいんだけど、......大丈夫?」


大丈夫って、どういう意味?

ちょっと考えて、たぶん一輝くんのことだという結論に達して、無理に笑顔を作る。


「大丈夫、って言いたいとこだけど、あんまり大丈夫じゃない。こういうとこくれば、嫌でも気分アガるかと思ったけど、やっぱ全然ダメだわ」


こういう場にきたら、無理矢理にでも気持ちが一輝くんからそれるかと思ったのに、全然そんなことなかった。

森村のことがある前から、ちっとも楽しめなかったし、ずっと一輝くんのことばっかり考えてる。


「あたし、一輝くん......彼氏のことがほんとに好きで、こんなに人を好きになったの初めてで。
だから、終わってるって自分でも分かってんのに、それを認めたくなかったのかもしれない。

今だってまだやり直したいと思ってるし、毎日一輝くんを想ってる。だけど、一輝くんはもうあたしを好きじゃないし、目さえ合わせてくれない」


一輝くんとダメになってからも、誰にもグチを言わなかったけど、一度話し出したら止まらなくなる。

こんなこといきなり言われても困るだろうに、口をはさまずに、神妙な顔で話を聞いてくれている友達。
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