プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
一輝くんの分の服を押しつけ、それから彼を隠そうとクローゼットに押し込んでいた手を、裕貴に止められる。


「それだと、見つかった時によけいまずくね?
今日のとこは時間も時間だし、とりあえず俺の友達ってことにしとけば」


たしかに......。

思いがけない裕貴の提案に、これから起こることを予測してみても、それが一番いいような気がする。


あたしの彼氏ってことにしたら、いきなりこんな時間に上がり込んでる礼儀知らずの男ってことで印象が悪くなること間違いなし。

だけど、裕貴の友達で泊まってもらってるって設定にしとけば、何も問題ない。

紹介はまたほとぼりが冷めた頃にしたらいいし。


「嘘つかんでも、ちゃんと挨拶するけん」


その間聞こえてきた一輝くんの言葉は、この際聞こえなかったふりをすることにして、裕貴の提案にのっからせてもらっちゃお。


「それだ!それでいこう!裕貴かしこい!
恩に着ます!裕ちゃん愛してる」


ハイタッチを求めると、呆れながらもそれに応じてくれた裕貴。いや、裕貴さま。


「はいはい、分かったからはよしろ」


裕貴にせかされながら、さきほど着ていた服を急いで身につけ、それからあたしたちは下におりていった。




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