プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「何か信念があると?
裕貴、ストイック貫いとるね。
好きな人とおっても、ちょっとも手出さないなんて俺には真似できんけん」


ん?それはちょっとちがくない?

ものすごい裕貴アゲしながら、一輝くんにキラキラした目で見つめられて、裕貴は罰の悪そうに目を伏せる。


「よっ!さすが裕貴さん。悟り拓いてるね!」


たぶんなにか信念があってやってるのとは違うんじゃと思いながらも、一応一輝くんに便乗。

と、ますます裕貴の顔色が悪くなる。


「悟りは拓いてねぇよ......。
俺だって興味ないわけじゃないけど、タイミングもねぇし」


でしょうね、まあこいつのことだからキス以上はしてないと思ったけど。キスもまだだったとは。

あたしには散々告白しろって煽ってきたくせに、自分のことになるとこれって。ほんっと情けない。


「はぁ?タイミングなんていくらでもあるでしょ。
ていうか、フツーにキスしたいって言えばいいじゃん」

「言えるか!
俺はお前みたいな慣れてるやつとは違うんだよ」


やっぱだめだこいつ。見直したのが間違いだった。
超失礼なうえに、ヘタレってマジで最低。

一輝くんもあたしが初めての彼女だけど、自分から積極的にしてくれたもん。


「一輝くんの前で変なこと言わないでよ!
ていうか、やっぱりアンタのこと、ヘタレチキンって呼ぶわ」


今日格上げしたばかりだけど、早くも再びヘタレチキンに格下げすることに。

さりげなく一輝くんもそれに頷いているのを、あたしは見逃さなかった。
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