プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「おあいにくさま、そんなことはありません」


じゃあ何で?というような顔であたしを見てくる内巻き。

この女に言うことじゃないけど、言われっぱなしなのもしゃくにさわるし、別に隠すことでもないか。


「今日の試合に勝ったら、次の試合はあたしの弟と幼なじみのいるチームなの。だからその時はベンチにいたいから、理穂に......もう一人のマネージャーの子に、今日はベンチを譲った」


公式戦のベンチに入れるマネージャーはひとり。
いつもは理穂と交代交代でベンチに入ってる。

甲子園でもそれは同じ。


決勝戦は理穂がベンチに入ったから、本来なら甲子園初戦の今日はあたしが入るはずだったんだけど。

順当にいけば、二回戦で銀月館と当たることになってるから、理穂が気を効かせてくれたんだよね。

その時はベンチで見ていたいだろうからって。


「あ、そうなんですか。
次の試合って銀月館ですよね、あの名門の。
初戦じゃなくてまだマシですけど、二回戦から当たるなんて運が悪いですね」

「どっちみち勝ち進んでいけば、いずれは当たる相手だから」


一回戦だろうが、決勝戦だろうが、いずれは戦わなきゃいけないことにはかわりない。

むしろうちのエースであるみのるが疲弊する前に、直接対決できる機会があっただけでも、もうけもの。
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