プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
しかもうちは甲子園開幕戦、一試合目からいきなり試合がある。初試合はやっぱり緊張するだろうけど、ここまできたんだから、後悔しないように出しきってほしい。


「先輩、こんにちは」


甲子園初試合が始まる前に、ひとり感慨にふけっていたら、決勝戦の時よりもさらに綺麗に巻かれた内巻きボブの女が目に入った。


「早川さん。こんにちは」


別に自分が試合に出るわけでもないのに、今日は気合いが入っている。

そういうあたしも、いつもよりも気合い入れて巻いてきたわけですが。甲子園が終わるまでは地味目にって先生に言われてるから、結局アップにまとめたんだけどね、気分の問題だよね。


「ていうか、今日も応援席なんですか?
先輩スコア書けないんですか?」


頭のてっぺんからつま先まで気合いの入った内巻きの全身をチェックすると、これまた隙なく塗られたピンクのグロスでツヤツヤの唇でナチュラルにイヤミを言ってくる。

ほんと失礼な女。


「あのね、あたしは中学までバリバリソフトやってたのよ?しかも、こどもの頃から家族で野球好きだからね。
スコア書けないわけないでしょうが」

「そうなんですかぁ。
じゃあ、部員に嫌われてるとかですか?
そうですよね、二股事件とかありましたね」


......こいつ。
どんだけ失礼なのよ。

世間話かのようにさらっと、女子力溢れる笑顔で微笑まれた時には、うっかり殴りそうになったわ。
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