絶叫脱出ゲーム~奴隷部屋カラ今スグ逃ゲロ~②
☆☆☆

両親と顔を合わすのが気まずくて、あたしは玄関から「ただいま」と声をかけてすぐに自分の部屋に入った。


全身鏡で自分の姿を見ると、一瞬にして頬が赤く染まる。


優也さんと体の関係になってしまった。


そのことが今になってリアルに感じられて、体の芯がうずくような熱を持つ。


キス以上の事はすべて初めてだったため、痛みだけは鮮明に覚えている。


しかし、その記憶こそがすべてを物語っていてあたしは布で鏡を隠した。


付き合っていればいつかこうなることはわかっていた。


一般的に考えたらそれが少し早かっただけのことだ。


あたしはベッドに寝そべり、優也さんの顔を思い出す。


あたしの隣で、あたしの頭を撫でながらほほ笑む優也さん。


「好き……」


そう呟くと、顔から火が出るようだった。


何度かベッドの上で寝返りをうち、気持ちを落ち着かせようとする。


しかし、何度も何度も優也さんの甘い声を思い出してしまい、あたしの心臓は静まることがなかった。
< 87 / 140 >

この作品をシェア

pagetop