シュールな関係
「まだまだ若いな

雅也くんは26歳だったな

これはただの結婚ではない


恋愛は愛する人でないと…なと

いつまでもそんな甘い考えじゃ

トップに上がれないのを分かって君は言ってるのか?」


「今どき政略結婚で振り回されるような時代ではありません」


刃向う生意気な小僧と思われてるのだろう。


俺は声が上がっていく藤堂と

反対に 表情を変えず


藤堂の考えを読み取ろうとジッと話を聞く。




「雅也君 


君の野心家と向上意識の

高さは周りからよく聞いておる

わたしも君を大きく評価している


君と瑠璃が結婚したら
どうなるか分かっているだろう?



一之瀬と藤堂が組めばこれ以上とない

地位・名誉・権力・富・名声を

拡大出来るのだぞ?


君には大物の風格を備えている


雅也君は頭のいい子だ


これ以上私が言わずとも

言いたいことは分かるだろう」




考えを読みとるのと

言いたいことを押さえるのは

今は、無理だ。



脂ぎった顔を近づけて自分の意思を押し付け

話してくるのが…むさ苦しくてたまらない



「どう言われようがわたしは――」



周りから親密な関係に

見えるかのように俺の肩を痛い位の力で組む



「雅也君


焦らず もう一度 

ゆっくりと考えるがいい」

藤堂は裏のある笑顔を含み

高圧的な声で囁くように話しながらの言葉を遮らさせる。

< 327 / 441 >

この作品をシェア

pagetop