もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


なにも、連絡する方法もなく、日々だけが過ぎていく。

結局、伊東と話す機会がなく、伊東の大学がきまったのかもわからない。


そんななか、二月に入った一週目、九条が音楽室に遊びに来た。

「ひーさーしーぶーりー!!!!!」


九条にしては、珍しいハイテンションで、部員全員が固まる。

けどその理由はすぐにわかった。右手にはしっかり合格通知が握られていた。


「九条先輩おめでとうございます!」

「すごい!受かったんですね!」



パーカッションの後輩たちが九条の周りに群がる。


「おめでとう。」

生徒の合格は、やっぱり自分のことのようにうれしい。

久しぶりにこころが晴れた気分だった。


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