もしも勇気が出たら君を抱きしめたい


小物などをおくテントまで急ぐ。

無意識にきょろきょろして、伊東を探してしまう僕は、ほんとに恋してるんだと思う。

「これ、小物置いときますね」

「松井先生、午前中どこ担当ですか?」

「種目出場者を集める係りです。」

「あ、それ生徒でやるみたいやから、ここで見張りしてもらえる?」

「わかりました。」


体育の先生がどこかに行ってから、ベンチに腰をおろす。

道具用のテントは入場門のすぐ近くにあるから、伊東がなにかに出るなら、すぐ気づけるかもしれないなんて淡い期待を抱きながら、僕は開会式を見守った。



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