choice 01
通路を歩きながら美夢は言った。
「綺麗な受付嬢だったね?それよりも私達以外誰もいないけど、どうしてかしら?」
葵は淡々と美夢の問いに答えた。
「僕達が最後の乗客だからた。僕達が名乗りもしないのに、受付は「藤崎様ですね」と、言った。つまり、他の乗客はすでに受付を済ませ、既に搭乗していて、受付のバインダーの名簿には、藤崎の名前しか残ってなかったんだ」
「あっ、そっか…成程…。でも時間に間に合ってよかったねっ!」
楽しみにしていた旅と、この天気の良さに、美夢の機嫌は良さそうだ。
さらに通路を進んで行くと、両開き式の扉が見えてきた。あの扉を開くと、受付の言っていた、パーティールームがあるのだろう。
「きっと、ここがパーティールームよ。どんな人達がいるのかなぁ?」
美夢は期待を膨らませたような表情で、扉に手を掛けて、少し開けてその隙間から中の様子を見た。
「葵…、何人か人が居るよ…。楽しそうに何か話してる」
こそこそ覗いてる美夢は、はたから見れば不審者にも見える。
「当たり前だ。受付が言ってただろう…。あまりこそこそするな…、不審者みたいだぞ」
自分の行動が不自然だと気付いた美夢は苦笑しながら言った。
「あっ、そっか…、ごめん…」
美夢は期待を膨らませ過ぎなのか、少し興奮ぎみだ。
葵はそんな美夢を気にすることなく扉を開いた。
扉が開いた事に反応したのか、中に居る数人の視線が、葵と美夢に刺さる。
その視線に少し怯んだ美夢とは対照的に、葵は視線を刺してきた人物に軽く会釈をした。
するとそれにつられるように、視線を刺してきた人物達は、表情を緩め会釈を返してきた。