男子と会話はできません









居間で消毒をしてもらった。しみて痛い。


弟くんたちは、それを見ながら、おおおうっと叫んで二人でふざけていた。


騒がしいのに、なんだか和んでしまう隼人くんのお家。でも消毒が終わったら、すぐに帰らなくちゃな。


……ママにどんな顔をして会えばいいのかまだわからないけれど。


だけど、おばあちゃんは、手当が終わるとテーブルの上に今日も沢山のお茶菓子と麦茶を出してくれた。


どうしよう。少し食べて帰らないと失礼にあたる。時計を気にしながら手をつける。


俯いて食べていると、「顔に傷がつかなくて、良がったなや」と、おばあちゃんは優しく言った。


「あっ……はい」


「顔に傷なんてつけて帰ってったら、お母さん、がっかりするはずだよ。めんこい顔がって」


「めんこ……可愛くなんてないです」


「親から見たら、めんこいに決まってる。だから大事にすんだよ。親からもらった体だ。ケガしたらすぐ診てもらうなりしてね。跡になったら大変だ」


ああ、やっぱりそういうものかと思った。


親からもらったものなのだから、大事にしなきゃいけないんだ。身体とか名前とか、自分のこと。
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