男子と会話はできません

「まあだからさ、羽麗がずっと好きだった隼人くんに告られて揺らぐ気持ちは、あたしがよくわかるよ。裏家業を手伝わされた身としては。

だから、揺らぐのは仕方ない。

でもさ、人の気持ちって、白と黒しかないわけじゃないじゃん。

好きな人を毎日百パーセント好きかっていったら、そうじゃないし。嫌いなとこだってあるでしょ。

例えば白じゃないとダメだって、決めつけると苦しくなってさ、余計焦って、わかんなくなるんじゃない?

時間が経ってからとか、ふとしたときに自分のタイミングで気づくかもしれないしさ、すぐに答えを出さないで様子見て良かったんじゃないのかなって思うんだよね。

まあ、別れたなら仕方ないけどさ。

後悔だけはしないようにね」


「後悔……かぁ」


呟きながら、思い出したのは、隼人くんと別れたあとのこと。


あんな気持ちを後悔というんだと、思う。


本当は、市ノ瀬くんと別れて、胸が痛んだままだ。
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