男子と会話はできません

「高塚先輩、応援に来ると思わなくてびっくりしました」


「それは……そうだよね」


「誰の応援に来たんですか?」


「えっと……」


言葉に詰まると「行実先輩ですか?」と涼しい声で訊いた。


「うん」


「でももう別れたんですよね」 と、間髪、質問をする。


「うん。別れてる」


ようやく顔をあげた。鏡の中の若槻さんとまた目が合った。


「じゃあなんで今日、応援なんかに来たんですか?」


「後悔してるから」


「え?」


「後悔してるから、応援に来たの」と、顔を彼女に向けた。


「後悔って、別れたことですか?だって、原因って高塚先輩じゃないんですか?行実先輩を不安にさせてたのは、高塚先輩じゃないですか?勝手すぎます。勝手すぎますよ」


「うん。勝手だよね。勝手だし、うまくいかないって、わかってる。だけど……」


口ごもりながら答える。


「先輩、わたし行実先輩とキスしました」


「えっ」


驚くと、勝ち誇ったように微笑んだ。
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