鬼系上司は甘えたがり。
でも、彼のことを悪く言われて黙っていられなくなるくらいには私はしっかり主任が好きで、由里子にもそれを知ってほしかったのだ。
彼女はいつでも最大の私の味方だから。
「薪ちゃん、ごめん」
「へへ」
苦笑いの由里子にモンブランの栗を献上する。
これで、おあいこだ。けれど。
「じゃあ、失礼ついでにもう一つ質問いい?」
「へ?」
「端的に聞くと、主任ってエッチ上手い?」
「……っ!?」
そこは転んでもただでは起きない由里子嬢。
ニタリと意地悪く口の端を引き上げると、含みのある言い方も、声のボリュームを落とすこともなく、そう言って再逆襲の火蓋を切った。
途端に金魚のように口をパクパクと開閉し、言葉も出なくなった私を見て、彼女は満足げに微笑むと、献上した栗をパクリと口に入れる。
そして紅茶でそれを流し込むと、さらに意地悪な顔に拍車をかけながら、こう畳み掛けるのだ。
「まさかベッドでもドSなの? もしかして、すんごいこと要求されたりしてる〜?」
ほんとこの子、ただじゃ起きない子!
ごめんって言ったじゃん!栗返せーっ!
「……いいい言えないっ!言いたくないっ!」