鬼系上司は甘えたがり。
 
残念ながら、主任の真意は分からない。

でも、しっかりと主任の両足にある革靴を見るとそれだけで震え上がるほど嬉しくなるこの気持ちには、どうしたって抗いようがない。


「うん、ありがとう。私もそのつもり」


主任との繋がりを確かめるように首元のネックレスに触れながら力強く頷くと、由里子は、まったくもう……と言いたげに苦笑を零す。

なんだかんだ言いながらも常に私の味方でいてくれるの彼女の存在の、なんと心強いことか。

感激のあまり、目の前がぼやけてくる。

が。


「ならいいけど。ていうか、あんまり心配掛けるんじゃないわよ? ほんと薪ちゃんって結構モテるくせに恋愛に関してはお子ちゃまなんだから。この分だと、全部が解決したら五回は奢ってもらわなきゃ割に合わないわ」

「うぇい!?」


それをいとも簡単に覆す台詞を吐かれ、私は思わず、がっぽりと目を見開いてしまった。

ご、五回ですか……。

きっとワリカンで食事をするときの比じゃないくらい食べるんだろうな、この子。

果たして私のお財布は由里子の食欲に耐えられるだろうか。恐い、由里子の胃袋恐い……。
 
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