鬼系上司は甘えたがり。
「もし今も一緒に仕事をしていたら、渡瀬を主任と奪い合うこともあったかもしれないね」
「……うぇい!?」
「そのときは負けないけど」
「た、多賀野くん、何言ってるの!?」
急におかしなことを口走る多賀野くんに思いっきり狼狽えてしまい、不敵に微笑む多賀野くんと明らかに不機嫌な顔をして口をへの字にへし曲げる主任との間で私は右往左往する。
多賀野くんまで何なの!? 冗談キツいって……。
けれど、ただ一人、本気にした人が。
「ぐえっ!」
「悪い多賀野、薪だけは譲れない。それ以外だったら協力何でもしてやるから、薪のことは俺にくれ。今すぐ恋愛感情ごと忘れろ」
突如私を背後からがっちりホールドした主任が鬼もビックリなとんでもない宣戦布告をしたので、多賀野くんと二人、目が点になった。
えええーっ!主任まで何を言い出すの!?
せっかくここまで多賀野くんの気持ちを解きほぐせたっていうのに、主任が口を挟んだことで全て水の泡になってしまったらどうするの!
一人、あわあわとしていれば。
「恋愛感情ごとって。相変わらずな人だな、渡瀬があんたのことを好きな時点で俺の出る幕なんてあるはずないじゃないですか」
「へ!?」
「……あん?」
堪えきれずに多賀野くんが破顔する。