鬼系上司は甘えたがり。
 
それでも月曜日はやってくる。

土曜日に紅葉狩りに連れて行かれたおかげで筋肉痛ハンパない体を引きずり出社した編集部内では、主任が言っていた通り、朝一番で部長に呼ばれ、これからしばらく主任と組んで仕事をしてほしい、とお達しを受けてしまった。

内心は断りたい気持ちが山々だったけど、一端の平社員にノーと言える度胸もなく、営業スマイルを貼り付けて「分かりました」と了承した私は、自分のデスクに戻るなり頭を抱えた。

やっぱり嘘じゃなかった……。


「どうしたのさ、薪ちゃん、そんなに暗い顔して。もしかして部長に叱られちゃった?」


そんな私の様子を見て声をかけてくれたのは、隣のデスクの由里子嬢だった。

同期であり、唯一の友人でもあり、毒舌美人の彼女は、エステサロンやネイルサロン、ヨガスクールやリラクゼーション施設など、主に女性が自分磨きに訪れたりリフレッシュしたいときに利用するためのお店の広告を扱っていて、そういうビューティー部門を担当しているので、頭の先からつま先までいつも完璧、同い年なのに姐御的な雰囲気が漂っている。
 
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