夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「いえ、見学に来ただけですから。彼に誘われて」


チラッと高岡くんに視線を向けながら言う。


「そうですか……」


まただ。
先生はまたあの哀しそうな顔で私を見た。
何でそんな顔で見るんですか?
心で問いかけても答えは返ってはこない。
それは当たり前の事なのに胸が痛くなる。


「高瀬!
水泳部に入れって!楽しいからよ!!」


高岡くんの笑顔から本当に水泳が大好きなんだなって伝わってくる。
由梨もそうだったけど高岡くんを見てると昔の自分を見ているかの様だった。
何で私の周りにはこうキラキラした人が多いのだろう。
見ていると、一緒にいると、胸が痛くてしょうがない。
自分の弱さを嫌でも知らされる。
無意識に掌を握りしめていたその時。


「高岡くん無理に誘うのはよくないですよ」


先生の優しい声が私の手から力を抜いた。


「でも……」

「キミは早く着替えてきなさい。
他の人たちは練習に戻ってください」

「はい」

「はーい」


先生のひと言で私の周りに集まっていた人たちは解散していった。
その場には私と先生だけが残る。


「……理由はともかく来てくれて嬉しいです」


哀しい笑みは消えて優しい笑顔で私を見る先生に心なしかホッとしていた。


「……お邪魔じゃないですか?」

「邪魔な訳ないですよ」


ポンッと私の頭を撫でる先生。
先生の笑顔は凄く格好良い。
優しい手つきに胸が温かくなるのを感じながら笑顔を浮かべる。
さっきまで感じていた不快感や胸の痛みは嘘の様に消えていた。
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