夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
「蒼井先生。
それはどういう意味ですか」


再び凍る空気。
校長室に沈黙が走る中で先生だけが冷静だった。


「僕は」


一瞬だけ先生は私の方を見た。
いつもと変わらない笑顔。
柔らかい雰囲気に胸がトクンと脈を打つ。


「僕は高瀬さんを1人の女性として愛しています」


しっかりとしたその声は私の胸を酷く高鳴らせた。
先生の顔は穏やかでまるで時間が止まった様な感覚になる。
嬉しくて、嬉しくて。
泣きたくなるくらいに幸せだ。
先生と両想いなんて考えた事もなくて驚きでいっぱいで。
本当ならもっと素直に感情を出せるのに。
何で……今なんですか。
もっと違う時に先生の想いを知れていたら何かが変わっていたかもしれない。
でも、どう足掻いたって。
私たちの恋の結末はハッピーエンドにはならないんだ。
それを裏付けるかの様に教頭先生の怒鳴り声が響いた。


「蒼井先生!君は一体何を考えているんだ!!
教師である君が生徒に恋をするなど言語道断だ!!」

「教頭先生のおっしゃる通りです。
でも彼女は僕にとっては特別なんです」

「蒼井先生!!」


先生の顔には“後悔”なんて言葉は無くて。
寧ろ清々しく見えた。
先生はいつだって真っ直ぐだった。
出会った時からずっと。でも。


「何で……何でですか……!!
私の事なんて何とも思ってないって言えば全てが丸く収まったのに……。
どうして……」


この先の結末なんて容易に分かってしまう。
私と先生はバラバラにされてしまう。
そんな事、先生だって分かっていたはずなのに何で……?
弱々しい言葉と同時に気持ちが爆発してしまう。
一筋の涙がゆっくりと頬をつたった。
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