夢が繋げた未来~何度倒れても諦めないで~
『可愛いな、お前』

『もっと抵抗しろよ』

『本当は期待してるんだろ?』


聞きたくない声が私の頭を支配する。
それに反応する様に私の体は大きく震えだした。


「高瀬……?」

「い……いやっ……!!
やめてっ……やめてくださっ……」


狂った様にジタバタと手足を動かす。
目の前にいるのはあの人じゃない。
そう思い込んでも恐怖が私から消えてくれない。


「高瀬!!おい落着け……」

「いやっ!!」


零れ落ちる涙が私の恐怖心を煽らせる。
ああ、私はなんて弱いのだろう。
もう昔の事なのに昨日の事の様に感じる。

最悪な過去を振り切る事が弱虫な私には出来ない。
このままでは高岡くんに迷惑を掛けちゃうのに。
自分をコントロールする事ができずに暴れ続けた。


「高瀬!しっかりしろ!!」

「っ……」


誰か、誰か助けて。
震える体を止める手段が分からない私は誰かに助けを求める事しか出来なかった。


「高瀬さん!!」


優しくて温かい声が私をそっと包み込んだ。
まるで私の心の叫びを聞きつけたヒーローの様に。
私の口は自然と動いた。
顔も見ていないのに声だけで誰かなんてすぐに分かった。


「蒼井先生」

「大丈夫ですか!?」


先生は高岡くんから私を奪う様に自分の腕の中に閉じ込めていた。
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