ターゲット


「…翔太ぁ…こホッ!コホッ!」


彼女はすぐに男子生徒の翔太に抱きつく。

「大丈夫か!?」

「…っ、う…うぅ…」


血相が変わったように翔太は優や杏珠を睨み、「あとで覚えておけよ?」と言い急いで彼女を抱き、走って行った。


彼女を抱いたせいで翔太の制服にもチョークの粉がつき、それを見ていた私達のあいだを走り抜いたのでその粉が私たちを被せた。


「…こホッ!」

思わず、咳き込んだ。
黒板の前は、チョークの粉だらけで先生が来たらどうするか気になっていた時、


「おい、吉野!ここ掃除しとけ!」

と、吉野さんの髪を掴み押し倒すと廊下に出ていく杏珠達。


「あー汚なぁチョークのせいでうちの制服についた」

「洗おっとー」

「アイツ、オモロかったわー!」


まるで罪のないようなセリフ。

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