アイドル君と私


望の言葉に、咲は首を傾ける。


「それって…普通の人だったら、いらないもの?廉だから…いるの?」


「……なのかも」


切な気な顔で答える咲。


すると、望はお茶を一口飲んで口を開いた。


「私…咲がすごく羨ましいなって、思ってた」


「えっ…?」


「だって、あんな人気者の素敵な彼氏なんて…嬉しいでしょ?」


「…うん」


「でも、実際は他の人に見えない所で…苦しんでたんだね?」


「望…」


「気づいてあげられなくて…ごめんね?」


「望…ううん?いつも話聞いてくれてありがとう…」


咲は笑顔でそう言った。


「でもね?咲っ」


「…うん?」


「好きなら…やっぱり、離れてほしくないな?
私は…」


「望…」


拓海くんと、同じこと言ってる…。


「時間開けて、考えればいいよ…落ち着いてさ?」


「うん、ありがとう…」


2人はそう言って笑みを交わした。


そして望が帰ると、咲は洗い物を片づけながら考えた。


望、私…やっぱり、どうしたらいいのかわかんない。


彼が好き


大好き


離れたくない


でも



私は…何かを、


決断しなければいけない気がする……。



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