アイドル君と私
あなたしか…


そして、


咲は移動する20日前日、
有給を取っていた。


その2~3日前から
咲は、廉と連絡を取らなくなっていた。


今日も携帯を見て、咲は溜め息をつく。


「…ごめんね…廉くん…」


咲は携帯をしまって、荷物を持ち、
パタンッ…と、アパートを出た。


ーー


数日、連絡が取れない咲を心配して、
廉が咲のアパートに夜訪ねて来た。


ピンポーン


「……出ない、咲ちゃん…?」


廉はアパートを離れ、次に向かったのは、
咲の職場の本屋。


店内を見渡す廉。


「…いない…」


そして、廉はカウンターにいた従業員に聞いた。


「すみませんっ、今日星野さんは…?」


「今日は、お休みですが…?」


「……そうですか、分かりました」


廉は本屋をあとにする。


車に戻って、もう一度咲にメールを打つ。


「咲ちゃん…どこにいるの…?」


メールを打って、廉が少し考えていると…
ふと、ある場所を思い出して、車を発進させた。


ーー


車が着いた先は、前に2人で来た
「星ふる丘」


車から降りて、廉は景色の見渡せる広場に走る。


「はぁっ…」


しばらく辺りを見渡すと


暗闇の中、
一人、景色を眺めている人を見つける。



< 472 / 545 >

この作品をシェア

pagetop