三回目のデート


「……映見、どうしたの?」

「いえっ!ちょっと暑くなって、あははっ!」

「あーそうだな。ここの店、日がよく入るし」


 はぁ……何とかごまかせた。


 ジュースを吸いながら、先輩をチラッと見た。

 先輩は「今日はホントに天気がいいよな~」と言いながら、笑顔で景色を眺めてる。

 やっぱり先輩って……相変わらず爽やか。

 あ、髪……よく見たら、いつもよりちょっと短くなってる。切ったばかりかも。

 今日の服装も大人っぽいし……

 これじゃあ、逆ナンされるのも無理はないよね。大学でもモテてそう。

 こんな先輩の彼女になれたのに……私、まだ彼女らしいこと何一つ出来てない。

 だからこそ……今日は、その第一歩。

(先輩を……名前で呼ぶっ)


 とはいえ、練習でも一度も成功してないけど……。


(崇ぃ……キスして?)


 っ!だから、それじゃないって!

 今度は先輩にバレないように、首を小刻みに振ってかき消した。

 そんなことは言わないけどっ!

 せめて一回ぐらいは名前を……。

 私は、密かに深呼吸をした。

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