約束の小指、誓いの薬指。

「へー。やっぱり彼女いたんですね。

でも、あんな記事が公になって、あんまり会えないんじゃないですか？」


「ん？
まぁ、そうだね。

今会うことは危険だから」


話ながらちょっとした違和感を持った。
志水なら、僕に彼女がいるとわかった時点ですぐにからかってくると思ったのに。


「…寂しいですか？」


「そりゃあ寂しいよ。
会えずに積もっていく不安もある」


予想しなかった志水の質問に、困りながらも笑って答えた。


「…そうですか」


話すにつれて、志水の声のトーンが下がっていく。顔も俯いていく。
何か考え事でもしているのだろうか。


…もしかしたら、志水にもなかなか会えない恋人がいるのかもしれない。