約束の小指、誓いの薬指。
告げられる現実
ふざけてんのかこの男は。
ふざけてないとしたら、どこまで馬鹿で愚かな男なんだ。
彼女が極限まで追い詰められているというのに、彼氏の方は積極的な女と秘め事ときた。
はぁ、馬鹿らしい。


俺は、久我凛音に相葉の秘密を告げた後、1度会うことがあった。
おそらくその時の様子から察するに、この男にその夜何をしていたのか、本当に仕事だったのかを聞いたのだろう。


そして、仕事だったと返事がきた。
そう嘘をつかれたんだろう。


お気の毒に、とか、これでも俺は責任を感じているんだ、とかを軽い気持ちで言った気がするが、俺が何を言っても久我凛音は上の空で、全く聞く耳を持たない。
何というか、思いっきり責めてくれた方が俺としては気が楽だったかもしれない。


こうも落ち込んだ姿を見せられると、本当に責任を感じざるを得なくなる。


そんな彼女に、俺は言ったんだ。
そんなに辛いならさっさと別れてしまえばいいだろって。
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