約束の小指、誓いの薬指。
「もう察してるとは思うが、俺がその現場を撮って久我凛音に見せた。

そこで彼女に取引を持ちかけたんだが、あんたのことを信じてるとか言ってそれには乗らなかったんだよ。


だけど、そこまでして信じた相手にまたしても裏切られることになったんだ。
その日は本当に仕事だったとあんたは嘘をついたんじゃないのか?


なんてことだろうね?
あんたは彼女を傷つけたくないなんて思ったのかもしれないが、そんな浅はかな考えが彼女のボロボロの心に、とどめを刺したんだよ」


「凛音が、全部知ってる…?
でもこれは…」


「これは不可抗力?
自分が望んでしたことじゃない?

はっ、どうでもいいねそんなこと。

女を車に乗せて、別れ際にキスをして。
挙句そのことを隠す為に嘘をついた。

その事実だけを見れば、浮気だと思われても仕方がないよな?」


いっそのこと浮気だと認めてしまえばいい。
久我凛音と別れればいいんだ。


あの子はきっと落ち込むんだろうが、その時は、少しの責任を感じて俺が側にいてやらないでもない。
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