約束の小指、誓いの薬指。
ホテルを出てから俺は、らしくない自分の行動に笑いがこぼれる。


今まで、こういう写真を自分は持ってますなんて、本人に見せに行くことなどなかった。
ましてや、知り合いの恋愛事情に口を出すこともなかった。


なのに、わざわざ大阪まで来て嫌いな相葉と顔を合わせて…。
そんなに久我凛音が可哀想だったのだろうか。


…彼女にはもう少し元気を出して欲しい。
彼女が落ち込むきっかけを作った俺が言うのも何だが、あんな久我凛音を見たくない。


俺は相葉と志水の写った写真を全て削除した。
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