約束の小指、誓いの薬指。
「あー、これね…。
正直迷ってるんですよね。

あなた達2人のことはどうでもいいんですが、これ以上久我凛音をいじめるのは可哀想な気もするんですよ。記事にしたら、また彼女は悲しむことになる。
立ち上がれない女性を更に谷底に突き落とすような真似、俺には出来ませんから」


あんたとは違って、という目で相葉を見ると、気まずそうに一瞬目を反らす。
でも、どこか怪しい雰囲気の俺に、敵意のこもった目を復活させる。


そこまでして彼女を失いたくないのか。
何て言うか…、自分勝手だね。


「まぁ、そういうことなんで。
記事にする時にはまた連絡しますよ」


席を立った俺は、最大限の皮肉の言葉を2人に向けた。


「それでは、2人の幸せを祈っていますよ」
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