約束の小指、誓いの薬指。
「行かなきゃいけないみたいだね。
名残惜しいけど…気をつけて行ってらっしゃい」


「うん。
行ってきます」


さっき何かを言いかけて放送に遮られてたけど…。
いいのだろうか?


「愁くん!
何か言い残したことはない?」


久しぶりにこのやり取りをした気がする。
愁くんは、まさかこうやって振られるとは思ってなかったらしく、一瞬驚いた顔をした。
でも、すぐにふっと笑顔に変わると、私の目を真っ直ぐに見つめて言った。


「結婚してください!

初めて会った時から運命の人だと確信してた。ずっと大事にする。
だから、僕と家族になってください」


驚きすぎて、私の口からは言葉にならない声が漏れるだけ。
心臓は急に大きく鳴りだして、その振動を全身に響かせている。
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