約束の小指、誓いの薬指。
「それくらい知ってるわよ。相葉くんの経歴だってちゃんと知ってるもん。

それを全部知ったうえで、顔が1番好きだって言ってるの。
ファン歴はいおりんの方が長いかもしれないけど、顔の良さを認めてるぶん私の方が愛は深いと言えるわ」


「なんだよその理屈」


伊織の言う通り、綾の訴えはこじつけなんだろうけど、愛と言われたら私も黙ってはいられない。


「待って!愛の深さなら私だって負けてないよ!」


比奈子達のことはほったらかしで、相葉愁という男への愛は自分が最も深いんだと主張する言い争いが始まった。おかしな状況に身を投じてしまった。何の権利があって私たちは言い争いっているんだ?


端から見ればほぼカオス。こんな滅茶苦茶な会話を、扉越しに聞く愁くんは何を思うんだろう…。
< 38 / 202 >

この作品をシェア

pagetop