約束の小指、誓いの薬指。
1時。明日の朝から用事がある人もいるということで、皆帰ることとなった。
綾は、今度CD聞かせてねーと機嫌良く帰路についた。


結局あの言い争いは、声優界について疎すぎる私は試合開始早々に敗北を認めざるを得なくなり脱落。綾と伊織は最後まで決着がつくことはなかった。


玄関の鍵を締めると、やっと緊張から解放されて壁にもたれかかって脱力していく。床にぺたりと座って心を落ち着ける。


「皆帰ったみたいだな」


扉ががらがらと開いて洗面所から出てきた愁くん。心なしか疲労感が浮かんでいるように見える。

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