オフィス・ラブ #3
疑問が顔に出ていたのか、三ツ谷くんがすかさず言った。



「新庄さんは悪くありません。この次長ってのが、問題で」

「問題?」



コネです、と三ツ谷くんが声を低める。

ああ、とため息が出た。


この会社は、今どき信じられないけれど、コネ入社というものが、大っぴらに行われている。

華族の血筋だとか、資産家の子息だとか、そういう理由で試験もなく入る社員が、実際にいる。

それでも、中に入れば扱いは一般社員と変わらず、働く人は働くし、働かない人は働かない、それも一般社員と同じ。


だから、特に気にしたことはなかったんだけれど。



「たまに、いるって聞いたことがある」

「間違って昇進してっちゃう人でしょ。まさにそれです」



まさか新庄さんが、そんなところでとばっちりを受けるなんて。



「追い出されたってこと?」

「逆です。彼を守るために、グループ長が避難させたんです」



グループ長って、確か当時の部長で、新庄さんを引き抜いた人だ。

運ばれてきたドリンクを飲みながら、詳しい事情を聞いてみると、ますます深いため息が出た。

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