イジワルな君と私との恋愛事情

結side2

ある日、私は、玄関の前で、高ちゃんとばったりと会った。

家は隣同士なので、こういうことはよくあることだった。

「結も、今、帰ってきたところか?」

「うん。」

高ちゃんが聞いてきたので、私は、すぐに返事をした。

その時に私は、ふと思った。

これは『高ちゃんの本音』を聞くチャンスかもしれない。

「あのっ、高ちゃん。待って。」

私は、自分の家へ行こうとする高ちゃんを呼び止めた。

「結、どうした?」

高ちゃんは振り向くと、私を真っ直ぐに見つめてきた。

高ちゃんのキレイな顔と瞳。

見つめられただけで、私の心拍数は上がり、胸はドキドキしている。

これから、私、高ちゃんの『本音』を聞こうとしているんだ。

そう考えただけで、また、胸がドキドキする。

「…あっ、あのね、高ちゃん……。」

「何だよ、結?」

高ちゃんは、笑顔で問い返してきた。

「…高ちゃんは、私のこと、やっぱり、『妹』としてしか見てない?」

私は、そう聞いた。

「確かに結は、『妹のような存在』だけど、俺にとっては『大切な女の子』だよ。」

高ちゃんは、そう言ってくれた。

だが、その『大切な女の子』が、果たして、『恋愛対象』のなのか、聞く必要があった。

私がよく知る高ちゃんだからこそ……。

「高ちゃん、それは『どういう意味』?」

私がそう聞くと、高ちゃんは不思議そうな顔をして、

「どういう意味って、もちろん、『幼なじみ』としての『大切な女の子』だよ。」

そう笑顔で言った。

そうか……。

やっぱり、そうなのか……。

『幼なじみ』としての『大切な女の子』。

高ちゃんにとって、私は、『恋愛対象』ではなかった……。

いきなり『告白』なんてしないでよかった……。

フラれるのは目に見えてる。

私が、そんな風に思っていた時だった。

急に高ちゃんが、びっくりした声で、その懐かしい名前を呼んだのだ。

「蒼!?」

私が、気づいて振り向くと、銀縁メガネをかけた超美青年が、大きな鞄を片手に持って、そこに立っていたのだった。


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