花のかほりは君の香り
家を出て駅に向かう途中、大きな並木道がある。

そこは、よくドラマの撮影などに使われたり、デートスポットとして有名な場所だ。

今の季節はちょうどキンモクセイが咲いてる。



「はぁ~いい香り。
 もう秋なんだな。」



このキンモクセイの香りを嗅ぐと、必ず懐かしくも悲しい気持ちにさせられる。


去年、私はこの並木道で事故に遭い半年間意識を失っていた。
脳のダメージが大きかったらしく、長くは持たないと言われていたらしいが、奇跡的に回復した。


「なんだろう…今日の夢でもこんな気分に 
 なったけど……ん~。思い出せないな。」



こんなに気持ちが落ち込むのは、きっとこの道での事故を思い出したからだと考え、気を取り直した直後の出来事だった。



ドクンッ



突然、頭が破裂しそうなほどの激痛に襲われ、耐えられず私はその場に倒れこんでしまった。




「なんで…?後遺症はないって言ってたの  に…誰か…」



意識が朦朧とし始め、視界もボヤけてきた。

















「もう大丈夫だよ…」






目の前に人が現れて何か私に言っているようだ。



誰?

なんだか聞き覚えのある声…















私の…キンモクセイ…………
















やがて視界は闇に覆われ意識は途絶えた。







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