浮気者上司!?に溺愛されてます
「……というわけで、来年度に向けた競争入札への取り組み報告については、以上です」


冒頭から二十分の時間をかけて報告を行った高津の最後の締めを聞いて、私はようやくしっかりと身体を起こした。


プロジェクターの電源が落ちて、ドアの近くに座った後輩が中会議室の電気を灯す。
なんとなくみんなが軽く身体を伸ばしたり肩を解したりし始めた。


「高津君の報告について、何か質問や意見がある人はいませんか?」


この場にいる女性の中では、一人だけきちんと高津の報告の内容を理解している羽村さんが、配られたレジュメを捲りながらその後の進行を続けた。
そして、特に発言は起きない。
少しの間沈黙が続いて、羽村さんが隣の恭介にチラッと目を向けた。


「桜庭課長、何かありますか?」


真面目で、恭介より年次が三年上の羽村さんから見ると、恭介の緩さが許せないんだろう。
いつもなんだかんだと文句を言う姿をフロアで目にする。
美人だし仕事の出来る人だけど、とにかく気が強い人だから、あまり下からは慕われていない。


直接名指しされた恭介は、ん、と言いながら椅子に座り直して姿勢を正した。
そして斜めの位置に座った高津にチラッと視線を向ける。


「競争入札って言ったっけ。競合他社はどのくらいあるんだ?」


向けられた質問に、高津は資料を捲らずとも、胸を張って答える。
その数字を聞いて、恭介は、「ふ~ん」と鼻を鳴らした。
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